七五三以来の家族写真
お父様が喜寿の節目を迎えられたご家族。
娘さんからその節目に家族写真を撮りたいとご依頼を頂きました。
幼い頃から旅館を営んでいらっしゃったご両親。日々の慌ただしい業務は一般の家庭とは違い、
『家族時間』というふうに考えるとなかなかなかったそうです。
宿泊のお客様がメインですから夜勤はもちろん、24時間何かあれば出なくてはならない責任もあり、
世間の休日は家業にとっては繁忙期。家族でのお出かけはもちろん、
ゆっくりみんなでご飯を食べることもなかなかなかったそうです。
一般家庭に産まれた私には想像もしなかったことでした。
そして、様々な環境の変化から閉館される決断をされたご両親。
そこには沢山の苦悩と涙があったと思います。
けれど、その代わりに『家族時間』が増えたのも事実です。
今、書きながら思い出しました。ある年の年末のこと。
初めて家族と自宅で新年を迎えるご家族。年越しそばについて家族会議が始まったそうです。笑
「年越しそばっていつ食べる?年が明けてから?明ける前?」
「年越しって何したらいい?どうする〜?」
毎年、年末年始はお客様のおもてなしに忙しかった家族。
家族でゆっくり過ごしたことがなかったご家族らしい何ともほっこりするエピソードでした。
また彼女が言った一言で私はずっと頭に残っていることがありました。
「何十年ぶりに家族でご飯食べてる。」「今まではなかった時間がある」
お父様の喜寿のお祝いには家族写真をと思われたのも、きっとそんな時間があったからなのかもしれませんね。
こんなに素敵な一枚になりました。どんな時も両親の支えとなり頑張ってきた彼女。
彼女を知る人はみんな口を揃えて言います。「面白い人」「いつも何かして人を笑わせている人」
そんな彼女も、この時ばかりは、純粋に娘としての表情を沢山見せてくれました。
せっかくなので、ご両親だけのお写真も。
「お父さ〜ん!お母さんの肩に手を回してあげてくださ〜い!」
「お母さ〜ん!もっとお父さんに寄り添って〜!」
というカメラマンの横で、娘さんは下を向いてました。
その姿は、たまたまだったのかもしれませんが、泣きそうになるのをこらえている様にも見えました。
きっと色んな思い出が蘇って、こんな風に家族で写真を撮りにくる時間なんてなくて・・
もしかしたらこんなご両親の姿を見るのも照れくさかったのかもしれませんが。笑
最後は妹さんご家族も一緒に、本当に家族全員そろった家族写真です。
一人、一人、本当にいい笑顔です。こうしてお揃いの色で服を着ることもなかったと思います。
子供の頃に撮った家族写真と、大人になってから撮る家族写真は感じ方が全く違います。
それは、それぞれが大人になるまでに色んな経験を重ねてきた証で、
感慨深くかんじるのはそれだけ家族の軌跡があったからだと思います。
なんだかじーんとしますね。家族みんなの今がある。
撮影はあっという間の時間でした。撮影後、姉妹で写真セレクト。
一枚、一枚、楽しそうに写真を選ぶ姿も印象的でした。ご両親のために、姉妹で計画した家族写真。
お父さんの喜寿のお祝いは、家族にとっても改めて優しいあったかい時間だったと思います。
セレクトされたデータはその場ですぐプリントしてお持ち帰り頂きました。
JIBUN写真は人の表情にフォーカスした撮影スタイルです。
こちらのご家族もとても喜んでくださいました。
先にご帰宅なさったご両親。遅れて娘さんが自宅に帰ると、額装して写真が飾られていたそうです。
娘さんたちからの最高のプレゼントだったのが伝わってきて、カメラマンも嬉しくなりました。
いつでも家族の写真が飾ってあるリビング。その写真は、月日が経つとともに、
もっともっと家族を繋いでくれるお守りのような存在になるはずです。
JIBUN写真。自分のための写真です。