なんで働くんですか?
カメラマンさんは、躊躇なく、『仕事とは、目に前の人を幸せにすることだよ』と答えたのです。
衝撃でした。人を幸せにすることが仕事!? そんな綺麗ごと言うなよ・・・と思い
『私は、スイッチを毎日10,000個、機械が作っているんです。目標達成できて当たり前。出来なかったらその理由を上司に報告。
クレームも起きます。そんな中、目の前の人を幸せにするって考えられません』すこし強めの口調で反論しました。
すると、ちょっと間をおいて、
『確かにそうかも知れないね。でもね、大塚さんは目に見える部分だけ見ていて、その先のことを想像し、見ようとしていないよ。
10,000個のスイッチを作るということは、誰かが10,000個のスイッチを必要としているからだよね?
この出来たスイッチ10,000個が必要な人の手に届いたら、幸せ感じるよね?
大塚さんは10,000個の幸せを作ってるんだよ。義務教育は授業料を支払い先生から学ぶ。
仕事とは、お金を頂きながら周りの方から人生を学べるんだ。捉え方かもね』
ハッとしました。そうか。仕事とは、人を幸せにするものなんだ。
その瞬間、この人みたいな考え方になりたい!と強く思うようになりました。この考え方がほしい!考え方を学びたい!と。
写真の打ち合わせだったはずが、色々な考え方、色々な経験談の話に変わり、話をすればするほど、この人みたいになりたい!
と尊敬するようになっていきました。
私は、カメラマンという仕事に憧れたわけではなく、そのカメラマンの人柄や考え方に憧れ、尊敬しました。
もしかするとその時、うどん屋の店長に『大塚くん!仕事とは目の前の人を幸せにするためにあるんだよ!俺はこのうどんで人を幸せにした
い!』と熱く語られたら、その店長に惹かれ、今最高のうどんをつくっていたかも知れません。
カメラマンの仕事とは、人を幸せにするという、目的。 カメラマンとは、写真を撮影する行為の職業名、または作業名であり、手段。
全ての仕事に通じること。目的と手段が反対になった時、仕事が作業になってしまう。
もっとカメラマンの話が聞きたい!学びたい!
打ち合わせが終わり、帰りの車の中でも写真の話よりカメラマンの話で盛り上がりました。
そして、無事に前撮りも終わり、大満足でした。
結婚式が終わり、カメラマンとは繋がりがなくなったのですが、私の心の中は終わってなかったのです。
もっと話が聞きたい!もっと考え方に触れて学びたい!
そんな気持ちがどんどん多きくなってきた時、ふとあることが頭をよぎりました。
この考え方、捉え方があれば、今までお世話になってきた方々、子供の頃、野菜や服を持ってきてくれた人達、
いつも声を掛けてくださる方々や周りの方々、家族、仲間・・・みんなに恩返しが出来るかもしれない。
そうだ。何も出来ないと思っていた人生。いつも誰かに迷惑かけてきた人生。自信のない人生。が、もしかすると恩返しできるんじゃないか。
確信は無かったが、直感で思いました。あのカメラマンの考え方は、自分の人生を変えることができる!!
心が熱くなり、涙が溢れてきた事を覚えています。
工場仕事が終わり、用事も無いのに車を走らせ、ほぼ毎日カメラマンのところに通い詰めました。
数ヶ月経った頃、カメラマンさんから連絡があり『大塚さん、突然なんだけどスタッフが1名退職することになったんだ。どうかな?
大塚さんの意思に任せるよ。』夢の様でした。
答えは、迷うことなく『一緒に仕事させてください!!』もう、想いが溢れて出てくるほど嬉しくて、ワクワクしました。
こうして、工場勤務の引継ぎを半年行った後、念願のカメラマンがいるウエディングフォトスタジオへ入社する事になったのです。
しかし、ここから本当の試練が待ち受けていました。